防災用ピクトグラム

防災用ピクトグラム

「ピクトグラム」は、指示・注意・案内などの情報を一目で分かるようにした図記号です。防災関連のサインに用いられるピクトグラムは種類別に様々な意味があり、JIS規格によって標準化されています。

ここでは、防災用ピクトグラムおよび防災サインの代表的なデザインをご紹介するとともに、設置時のルールについても解説しています。

JIS規格と防災用ピクトグラム

JIS規格と防災用ピクトグラム

JIS規格とは

「日本産業規格(Japanese Industrial Standards)」の略称です。

日本の産業製品に関する規格や測定法などを定めた国家規格のことをいいます。規格での標準化により、経済・社会活動における利便性の確保が保たれます。防災表示の規格には「JISZ8210」「JISZ9098」などの種類があります。

ピクトグラムとは

街中で見かける防災サインには様々な種類があります。基本的な内容は「ピクトグラム」と呼ばれる図記号を用いて構成されています。

ピクトグラムは情報や注意を示すための「図記号」を総称しています。JIS規格によって指針が示されています。文字による表現の代わりに視覚的な図や記号で表現します。言語の違いによる制約を受けずに避難情報の伝達を行うことを目的としています。

防災サインのデザイン

組み合わせた避難デザイン例

避難誘導に関する案内は緊急時に誰もが必要とする情報です。

外国人観光客が増加している昨今では、ユニバーサルデザイン化が図られています。”誰もが内容を判断できる”という配慮を行います。防災サインを製作する際にはJIS規格に沿ったレイアウトが多く用いられます。

防災関連ピクトグラムの意味

JIS Z8210 広域避難場所

広域避難場所

指定された「広域避難場所」を示します。広域避難場所とは、地震等による延焼火災のために用意された概ね10ヘクタール以上の広さの場所をいいます。災害時に地域の住民が避難するための施設や指定された場所のことです。

JIS Z8210 避難所(建物)

避難所(建物)

災害時の仮の生活を支えるための避難所を示しています。学校や公民館、コミュニティセンター、大型商業施設などがあります。室内の広い空間が避難スペースとして提供され、トイレや水道などの基本的な設備も整っています。

JIS Z8210 津波避難場所

津波避難場所

津波に対しての安全な避難場所(高台など)の情報を示しています。津波の影響を受けにくい標高が高い場所が指定されます。自然の丘や山、または人工的に造成された高台が避難場所として指定されています。

JIS Z8210 津波避難ビル

津波避難ビル

津波に対しての安全な避難場所(津波避難ビルなどの建物)の情報を示しています。一時的に避難するために指定された耐震性の高い高層建物です。特に市街地などでは、高層ビルが避難場所として利用されます。通常、3階以上のフロアが指定されています。

JIS Z8210 洪水 / 内水氾濫

内水氾濫

洪水又は内水氾濫に対しての情報を示します。「洪水」は河川や湖の水が大雨や雪解けなどによって急激に増水し、堤防を越えて溢れ出す現象です。一方、「内水氾濫」は、都市部や平野部で発生する現象です。降雨により下水道や排水設備が処理できる水量を超えると、道路や住宅地に水が溢れ出します。洪水は主に河川や湖が氾濫することで広範囲に被害が広がるります。それに対し、内水氾濫は都市部などでの排水不良による局地的な浸水が特徴です。

JIS Z8210 土石流

土石流

災害のうち、土石流に対しての情報を示します。土石流は、大雨や雪解けなどで大量の水が山や斜面に浸透し、その結果として土砂や岩石が急斜面を高速で流れ下る現象です。地すべりや崩壊などの地盤の不安定化によって引き起こされます。非常に破壊力が強い災害です。

JIS Z8210 津波 / 高潮

津波

災害のうち、津波又は高潮に対しての情報を示します。「津波」は、海底の地震や火山の噴火などにより、海水が大量に動かされることで発生する波のことです。海面が上下に急激に変動することによって起こります。一方、「高潮」は台風や強風により海水が異常に持ち上げられて海岸に押し寄せる現象です気圧の低下と風の影響によって海面が上昇し、通常の満潮時の海水位を超えることがあります。

JIS Z8210 崖崩れ・地滑り

崖崩れ

災害のうち、崖崩れ及び地滑りに対しての情報を示します。「崖崩れ」は、急な斜面や崖の一部が雨水の浸透や地震などによって突然崩れ落ちる現象です。土や岩が一気に崩れて下方に落ち、斜面下の建物や道路などに被害をもたらします。「地滑り」は、斜面全体が広範囲にわたって移動する現象です。地滑りは地表から深いところまで土や岩が一体となって動くため、非常に大規模な災害となることがあります。

JIS Z8210 大規模な火事

大規模な火事

災害のうち、大規模な火事に対しての情報を示します。広範囲にわたり、多くの建物や森林などを焼き尽くす大きな火災のことを指します。これらの火事は、人的被害や物的被害が甚大で、鎮火に時間がかかります。

防災サインのJIS規格とレイアウト

防災サインのJIS規格とレイアウト
ソーラー防災看板_ピクトグラム図記号(JIS規格)

避難誘導におけるピクトグラム図記号(JIS規格)は、従来より詳しく定められていました。しかし、ピクトグラム単独の表示では「避難場所に辿り着くための情報」として不十分となる恐れがありました。

そこで、現在地の海抜や避難場所までの道順・距離などに関する複合情報を含んだ誘導案内を「一連のサイン」として避難経路に設置するためにJIS規格が制定されました。これが「津波避難誘導標識システム」です。

このJIS規格は、津波注意標識・津波避難情報標識・津波避難誘導標識・津波避難場所標識・津波避難ビル標識といった案内に含まれるべき情報についての規定です。

レイアウト

避難標識デザイン

津波災害警戒区域の範囲、避難場所/津波避難ビルの位置、推奨する避難方向などを併せて記載します。このとき、地図・矢印・ピクトグラムなどのデザインを組み合わせることで言語が異なる人々にも内容を伝達できるよう注意します。

防災用ピクトグラム まとめ

お読みいただきありがとうございました。このページでは、防災用ピクトグラムについてご紹介しました。ご覧いただいたように、防災関連のピクトグラムには様々な種類があります。それぞれがどういった意味合いをもつのかを把握しておくと、実際の避難行動に役立てられることも多いと思います。特に、南海トラフ地震などの被害想定が発表されている地域にお住まいの方は、いざという時の備えの一環として知識を留めておくことをお勧めします。