センサーと連動する標識

センサーと連動する標識は「スマート標識」や「インタラクティブ標識」とも呼ばれます。動作や状況(環境)などをセンシングにより感知し、標識の表示内容を変化する機能をもちます。交通をはじめ、安全保安、注意喚起、指示案内などさまざまな用途での活用が期待されています。

このページでは、センサーと連動する標識について詳しくご紹介しています。

交通関連の標識

工事標識

歩行者の検知

歩行者が道路を横断しようとすると、センサーがそれを感知します。ドライバーに注意を促すために標識が点灯したり点滅したりします。特に学校周辺や横断歩道で使われます。駐車場の出入り口に設けられるブザーなどと同じ働きであり、旧来より用いられている手法のひとつです。

速度違反の検知

せンサーにより車両の速度を測定します。制限速度を超えた場合に警告を表示するものです。「現在の速度は〇〇kmです」といったリアルタイムの情報を提供する標識もあります。オービスなどで用いられる技術の一種で、警告的な意味合いを強めることができます。

交通量の管理

道路上の交通量や混雑をセンサーで検知します。渋滞情報や迂回ルートを案内するデジタル標識です。高速道路などでは大型の表示案内を用いて導入が進められています。

環境モニタリングの標識

山道案内板

環境モニタリング標識は、センサーを利用して大気や環境に関するさまざまなデータをリアルタイムで収集・表示するスマート標識の一種です。これにより、公共の健康と安全を守るための情報が提供されます。

センサーによる環境データ収集

環境モニタリング標識には、大気センサーや気象センサーなどが組み込まれています。次のような情報を測定することができます。

大気質:PM2.5やPM10、NO2、COなどの有害物質や汚染物質の濃度を測定します。特に都市部では、車の排気ガスや工場からの排出物を監視します。

温度や湿度:気温や湿度をリアルタイムで計測します。熱中症のリスクが高い時期に警告を表示することができます。

騒音レベル:騒音公害を監視し、特定の閾値を超えた場合に警告を表示します。

二酸化炭素濃度:温室効果ガスであるCO2の濃度を測定し、環境負荷の高いエリアを特定します。

上記のような環境要因を測定し、次にそれを可視化するために標識を活用します。リアルタイムでの表示内容の書き換えが必要となるため、デジタル機器を搭載した表示が行われます。例えば、表示される情報は次のようなものがあります。

標識としての活用

  • 大気質指数(AQI)として表示される大気の状態(良好、普通、危険など)
  • 現在の温度や湿度、騒音レベル
  • それに対する注意喚起や管理の徹底
  • 健康への影響についての警告 例)今日は大気質が悪いので、不要の外出を控えてください、など

ネットワークとの連携

環境モニタリング標識は通常、他のデータ収集ステーションやデータベースと連携します。これにより、地域全体の環境データを収集し、解析することが可能となります。都市部や工業地帯の環境管理を一元的に行うことができます。

例えば、大気汚染が問題となる住宅街などのエリアで、住民に大気質情報を提供できます。また、学校や病院周辺などの汚染物質が健康に影響を与えやすい人々の多いエリアでも有効です。健康リスクを知らせるために設置されます。

それらに加えて、CSRの重要性が高まっている昨今では、工場や産業地帯において、排出ガスの監視や、近隣住民への影響を最小限に抑えるためにも利用が進められています。

インターネットの活用

上記のような管理システムはIoT技術やビッグデータ解析と組み合わせにより実現します。これらの技術には環境モニタリング標識をインターネットに接続することが求められます。

従来、データの収集とその情報を用いた対策は非常に局所的な取り組みでした。しかし、地域レベルでデータを収集し、解析できるようになれば環境の変化をトレンドとして表示したり、将来の汚染レベルを予測したりすることも可能となります。

今後、持続可能な都市開発や公衆衛生の向上に大きく貢献できると期待されています。

防災用のセンサーと連動する標識

避難標識デザイン

自然災害や緊急事態の発生時に、リアルタイムで警告や避難情報を提供するシステムです。センシングにより災害を感知し、必要な避難、防災情報を表示するといった機能です。これにより、住民やビジターが迅速かつ適切に避難できるよう支援できます。防災用のセンサー連動標識には、以下のような種類が存在します。

災害の種類と対応する標識

地震警報連動標識

地震のセンサーには、加速度計や感震装置が用いられます。これらは、基準値以上の揺れを観測すると反応を発信する機能をもちます。または、緊急地震速報(P波を感知する技術)を受信し、リアルタイムでの反応を示す装置もあります。

センサーで地震を察知すると、次に、揺れが来ることを警告して避難行動を促す案内情報を標識で示します。大規模な地震が予想される場合は、避難ルートや避難所への誘導情報も表示しなければなりません。このように、地震が起こった際の避難行動を震度レベル別に提供できれば、効率的な対策に繋げられます。

津波警報連動標識

潮位センサーや地震センサーと連携して、津波の発生が予想される場合に警告を発する標識です。津波警報が発令された際、沿岸地域に設置された標識が避難指示を出します。津波の危険がある際はとにかく迅速に避難することが大切です。標高の高い場所や指定避難所へ誘導しなければなりません。

また、視覚的な警告に加え、音声アナウンスやサイレンでの注意喚起も重要です。視覚や聴覚に障害のある人々にも対応できます。

洪水警報連動標識

水位センサーを使用し、河川や水路の水位変化を捉えます。急激な上昇が確認された際に、洪水の危険を警告する標識です。水位の変化をリアルタイムで監視できるため、閾値を超えた場合は危険であると判断し、各種喚起情報を発します。

住民に対して避難を促すと同時に、洪水が発生しそうな地域や迂回ルートの案内も行います。特に河川やダム周辺での利用において、効率的な情報発信が可能となります。

土砂災害警報連動標識

土砂災害の場合は雨量センサーや地盤センサーを利用します。大雨や連続した降雨による土砂崩れや山崩れの危険を警告する標識です。具体的には、降雨量や地盤の状態をリアルタイムで監視し、危険度が高まると事前に警告を発します。これにより、土砂災害の危険がある地域の住民に対して迅速な避難を促すことができます。

防災用センサー連動標識の機能について

リアルタイムモニタリング

各種センサーからのデータをリアルタイムで監視することができます。そのため、災害が発生する前に予兆を検知することも可能となります。標識を用いて瞬時に情報を表示し、危険が迫っていることを知らせます。

警報の視覚、聴覚連動

防災標識は通常、その表示内容により視覚的な警告を行います。これに加えて、フラッシュライトや音声、サイレンなどの機器を連動させることで更に注意を喚起できます。また、視覚や聴覚に障害を持つ方々にも対応できます。

避難経路の案内

住民や観光客が安全に避難できるよう、リアルタイムで最適な経路を表示できます。災害の種類ごとに異なる避難経路を設定している場合に効果的な手段となります。

センサーの問題点

問題点

上記のように、センサーと連携した標識には様々な発展の要素があります。利便性が高まる一方、その導入においていくつかの課題が存在します。

環境条件による影響

特に、屋外において問題となる環境条件の悪影響です。例として、温度、湿度、風、降雨、雪、埃、砂、紫外線など、さまざまな環境条件が挙げられます。これらの要因がセンサーの正確性や耐久性に悪影響を及ぼすことがあります。

通信の問題

センサーが収集したデータをリモートで取得するためには、安定した通信手段が必要です。遠隔地や障害物が多い場所では、通信が途絶えてしまうことがあります。また、屋外環境をはじめとして通信環境が備わっていないエリアも存在します。

メンテナンスの必要性

センサーは精密機器であるため、通常の標識よりも頻繁な点検やメンテナンスが必要となります。設置台数が多くなるに伴ってメンテナンスの量やそのコストが増大してしまいます。そのため、計画的な運用や省エネ技術の採用といった施策が求められます。

電力消費

一部のセンサーは高頻度でデータを収集したり、処理を行ったりするために大量の電力を消費することがあります。常用している場合は電気代もかかってしまいます。また、バッテリー駆動のセンサーの場合、電力消費が多いとバッテリー寿命が短くなりがちです。

電源確保の問題

センサーの問題点のうち、「電源確保」は意外と頭を悩ませる課題点のひとつです。以下に、そのポイントをご紹介します。

電力供給の不安定性

標識の設置場所付近に電源供給が安定していない場合があります。この場合、安直にケーブルを繋いで電力供給を施すことができません。また、屋外や通信環境が備わっていない場所においては、センサーの他にネットワークの整備も求められます。

ネットワークの構築には、モデムやルーター、ゲートウェイなどの電子機器が必要となります。機器が増えるにしたがって別途電力を確保しなければなりません。

電源ケーブルの配線

電源からケーブルを長距離にわたって設置する場合、工事コストや環境への影響、設置作業自体が難しいことがあります。さらに、ケーブルの損傷や劣化のリスクもあります。配線による距離制限など、設置場所の自由度が狭くなってしまう原因となります。

バッテリーの寿命とメンテナンス

小型のセンサーは、電源にバッテリーを用いて駆動しているものが多くあります。ボタン電池などの小型バッテリーであり、軽量でセットも簡単です。一方、センサーの台数が多くなるとその寿命管理や頻繁な交換作業が問題となります。また、定期的なメンテナンスが必要であり、バッテリーが切れるとセンサーが機能しなくなるリスクもあります。

問題の解決と今後の発展性

センサーと連動する標識は、今後幅広い分野での活用が期待されています。そのインタラクティブな機能性や情報発信の簡易さが強い長所となります。標識は全国津々浦々に設置される公共性の高い製品のひとつです。こうした製品から各種一時データを入手することができれば、様々な観点から問題のソリューションを生み出す要因として活用できます。現在ではその動作や導入の面で様々な障壁がありますが、新しい技術などを用いて解決が進められています。