屋外の電源問題

屋外には電源が確保されていない場所があります。例えば、自然の中。山、森、キャンプ場、ビーチなどの自然環境では、ほとんどの場合において電源が利用できません。また、未開発の地域では電力インフラが整備されておらず、電気が通っていません。

しかし、こうした場所でも情報提供やデータ収集、各種イベントなどで電力が必要となることがあります。このページでは、そのような屋外の電源問題とそのソリューションについて詳しくご紹介しています。

屋外で電源が無い場所とは

防災公園

日本では、人が生活するあらゆる場所で電気が通っています。しかし、電力インフラが整っている中でも電源が確保できない場所が存在します。その例として、以下のような場所が挙げられます。

自然の中:上述したように、山、森、キャンプ場、海岸などの自然環境下においては電源が備わっていません。理由としては、自然を保護するため工事ができない事情があります。また、人の生活圏外であったり、電力のニーズが無いといったケースも多々みられます。

公園や広場:自然公園や公共広場には電源が備わっていないか、一般的に提供されていないことがあります。通常、公園において電力が必要となる機器は照明器具や時計などのツールです。電力は通っているものの、細かく分配はされていません。

未開発の地域:開発が進んでいない農村部や無人島などでは、そもそも電力インフラが整備されていません。電力を引くためには、新たに供給元を確保する必要があります。(※下記参照)

電源が使えないケース

また、電源があっても使用できないこともあります。例えば、テナントなどの賃貸契約により電源利用の許可が下りていないケースがあります。公共性の高い場所や景観を重視するエリアなどで見られがちな理由となっています。

また、少し特殊な例ですが、電圧や周波数の不一致も考えられます。使用する機器が必要とする電圧や周波数と供給される電力が一致しない場合、機器が動作しません。この問題に対しては、機器側の制御を調整する必要があります。

電源を引くためには

電源がない場所に電力を引くためには、いくつかの設備と手順が必要です。その方法は場所や用途に応じて異なりますが、一般的に以下のようなプロセスがあります。

1.既存の電源から引く

まず、付近に建物や電柱などの電源がある場合、そこから配線を引くことができます。配線を延長する際は専用の工事が必要です。通常、電気工事の資格を持つ専門業者が作業を行います。

2.電力ケーブルを敷設する

付近に電源が無い場合は、送電用の配線を引き込んでくる必要があります。新たに中継用の電柱や設備を導入するため、費用や作業期間が増えます。また、公共の場所や商業施設で電力を引く場合、地方自治体や電力会社からの許可が求められる可能性もあります。

3.安全装置の設置

電力の設備が整ったら、電気機器へと安全に電流を流すための部材を設置します。配線の途中に配電盤や分電盤を設置して、安全に電力を分配します。また、過電流や漏電から設備を保護する安全装置も忘れてはなりません。ブレーカーやヒューズを取り付けます。

4.電源ボックスの設置

実際に電気機器を使用する場合に、ケーブルを差し込む屋外用の防水コンセントや電源ボックスを設置します。公園や屋外公共施設では、地面に埋め込まれた電源ボックスがよく使われます。必要なときだけ電源を使用でき、使わないときは蓋を閉めて保護できます。

5.検査とメンテナンス

電源を整備したらそれで完了するわけではありません。故障や事故を防ぐには、定期的な検査・メンテナンスが必要となります。特に屋外では水分による漏電のリスクが高いため、定期的な漏電試験が求められます。

電源が無い場所での対策

上述のようにイチから電力を引くのは骨の折れる作業です。申請や許可などの作業工程も多く、負担が大きくなりがちです。そうした中、代替案としての電力供給の方法もいくつか登場しています。例えば、以下のようなものがあります。

ポータブルバッテリー

持ち運びが可能な充電式の電源装置です。小型電子機器を充電するための「モバイルバッテリー」と、より大容量で電力を供給できる「ポータブル電源」に大別されます。どちらも電気を蓄えるための充電作業が別途必要となります。

モバイルバッテリーは、コンパクトで軽量という特徴をもちます。主に、スマホやタブレット、Bluetoothデバイスなどの充電に使用されます。容量は1,000〜20,000mAh程度が一般的です。外出先でのスマホの充電、旅行や通勤中の予備電源として使われますが、電源設備としては少し容量が小さい傾向にあります。

ポータブル電源は、大容量が特徴です。主にキャンプや屋外作業、停電時のバックアップ電源として使用されます。100VのコンセントやUSB、DC出力が搭載されており、複数の機器を同時に使用できることもあります。容量は数十Wh〜数千Whのモデルがあり、大型家電の使用にも対応できるものがあります。

ソーラーパネル

太陽の光を電力に変換する技術です。持続可能なエネルギーとして注目されており、屋根や地面、さらにはポータブルタイプもあります。ソーラーパネルは自身で電力を蓄えることができないため、ポータブルバッテリーと組み合わせた電源システムとして用いられます。

ポータブルバッテリーは手動での充電工程が必要でしたが、ソーラーパネルは放置していると自動的に電力を蓄えることができます。そのため、電源システムとして構築すると安定して電力を得られる仕組みを整備できます。

一方で、日照時間や日射強度が多くない場所では機能が低下します。日照時間が短い地域や、曇りがちな天気の悪影響を受けることもあります。

発電機

発電機とは、燃料を使って電力を作り出す装置です。主に、ガソリン燃料などをエネルギー源とするエンジン式発電機があります。燃料やエネルギー源を使って回転運動を作り、これを変換することで電力を獲得します。

発電の基本的な仕組みは、電磁誘導を利用して電力を作り出すものです。まず、エンジンやタービンを使ってローターを回転させます。その回転運動によりコイル内で磁場を変化させ、電気を発生させます。

発電機は大きな電力を生み出すことができ、取り出し量などをコントロールできる点がメリットです。バッテリーと組み合わせて充電システムを構築することも可能です。一方、発電時の騒音や燃料代が掛かってしまう点はデメリットとなります。

屋外の電源問題 まとめ

お読みいただきありがとうございました。屋外において電柱や電力網がない場所では、安定した電力供給が難しくなります。また、電源があっても長時間の使用や高い電力を必要とする場合、安定した電力供給が課題となるケースが少なくありません。直接電源を引く工事ができる場合は問題ありませんが、そうでない場合は代替電源の利用が推奨されます。代替電源としては、ポータブルバッテリー、ソーラーパネル、発電機などが挙げられます。これらはそれぞれ異なる特徴をもつため、場所や用途に応じた対策を練る必要があります。