避難標識のデザイン(JIS規格対応)

避難標識とは

災害や緊急時に人々が安全な場所に避難するための指示を示す標識です。

避難標識のデザイン(JIS規格対応)
  • 一般的には、火災や地震などの災害が発生した際に備えた防災インフラです
  • 複数の種類がありますが、建物内外の両方に設置されています
  • 避難経路や避難場所、非常口の位置などが示されています
  • 人々が迅速かつ安全に避難するための重要な情報源となっています

このページでは、避難標識のデザインに関する詳細についてご紹介しています。

防災用ピクトグラム

防災用ピクトグラム
ソーラーパネルを内蔵した避難標識
避難標識のデザインは「防災用のピクトグラム」を中心に構成されます。

防災用ピクトグラムとは、災害や緊急時の状況を視覚的に伝えるためのシンプルで直感的な図像やアイコンのことです。ピクトグラムは、言語や文化の壁を越えて、誰にでも理解できるように設計されています。

主な防災用ピクトグラムには、以下のような種類があります。

非常口:緑色の背景に白い走る人と矢印が描かれており、避難経路や非常口の場所を示します。主に屋内において用いられます。

避難場所:避難すべき場所を示すアイコンです。公園や広場など広域避難場所が想定されています。こちらは屋外の避難場所を示すのに用いられます。

津波避難:自然災害のうち、津波からの避難を想定したアイコンです。津波からの避難先である指定避難所を示すピクトグラムでは、ビルや高台といった該当する避難拠点が描かれます。

これらのピクトグラムは、建物内外を問わず防災において重視される地点に設置されます。緊急時において、人々が迅速に行動できるようにサポートしています。

JIS規格の内容

JIS規格の内容
防災用ピクトグラムには「JIS(日本工業規格)」によって定められた規格があります。

避難や防災に関する標識を誰でも理解できるよう、統一したデザインを提供するために制定されています。具体的には、以下のようなJIS規格があります。

  • JIS Z 8210:安全色および安全標識に関する規格です。色や形状に関する基本的な基準が定められています。
  • JIS S 0101:図記号―安全の規格です。避難経路や非常口などのピクトグラムに関する具体的なデザインが含まれています。
  • JIS Z 9098:防災関連のピクトグラムに特化した規格です。避難場所や避難経路の標識のデザインや色彩に関する基準が示されています。

このうち、防災に特化した規格をご紹介します。

JIS Z 9098

下記は、2016年に制定された「JIS Z 9098」の防災ピクトグラムです。

JIS Z 9098

主に、屋外において用いられるアイコンを網羅しています。これらの規格に基づいて設計されたピクトグラムは、公共施設や商業施設などで広く使用されています。災害時の迅速な避難をサポートする役割を果たしています。

適不適マーク

避難場所がどの災害に適しているかを「適不適表示マーク (〇 or ×)」を用いて表示するようになりました。

適不適マーク

「〇」は該当する災害に適した避難場所であることを示します。反対に「×」はその災害には適さないことを示しています。これにより、避難標識を確認した時点で当該避難拠点へ移動するべきかを判断できます。避難の効率を高める取り組みのひとつです。

多言語表記

日本語のテキストの他、英語や中国語、韓国語などで文字フォローを表示することを多言語表記といいます。主に、日本を訪れる外国人に向けて情報を発信する役割をもちます。防災・避難に関することは国籍を問わず誰もが必要となる情報です。

災害時の避難対応において、言語の理解度によって生じる差はなるべく抑えなければなりません。ひとりでも多くの方が理解できる内容にすることが求められます。

組み合わせた避難標識のデザイン例

組み合わせた避難標識のデザイン例

上記の防災ピクトグラム、適不適マーク、言語フォローを組み合わせたデザイン例です。JIS規格により推奨されるレイアウトを整備し、避難標識のデザインを構築することができます。

具体的な部分では、防災拠点を示す避難標識の場合はその名称を大きくはっきりと示す必要があります。文字のフォントや配色にも気を配らなければなりません。また、必要であれば距離や方角なども付け加えます。

求められる情報を取捨選択し、できるだけシンプルかつ分かり易い構成でデザインのレイアウトを検討していきます。

ハザードマップの表記

ソーラー防災看板_防災マップの表示
災害の被害想定やリスク想定を地図上に当てはめたものを「ハザードマップ」といいます。

避難標識にハザードマップの表記は必ずしも必要ではありません。細かい地図は時として与える情報量を増やし、判断を遅くしてしまう危険性もあります。しかし、ハザードマップの情報を併せて提供することのメリットもあります。

例えば、マップの存在により住民や施設利用者がどの地域や場所が危険であるかを事前に把握できます。これにより、緊急時により適切な避難行動を取ることが可能となります。

ハザードマップの役割

洪水、津波、地震、土砂災害など、地域ごとのリスクを視覚的に示すことができます。危険のある場所には近づかないようにするといった判断に繋がります。どのルートが安全であるかを判断する助けにもなります。

また、日常的にハザードマップを目にすることで、災害リスクへの意識を高められます。事前の備えを促進するための防災啓蒙にも繋がります。

避難標識のデザイン事例

避難標識のデザイン事例
太陽電池内蔵型のLED避難標識

避難標識のデザイン まとめ

お読みいただきありがとうございました。避難標識のデザインは、視認性が高く、誰にでも理解しやすいことが求められます。JIS規格が定められており、それに基づくデザインが一般的であるといえます。各種のデザインの要素を組み合わせることで、避難標識は災害時に安全で迅速な避難を促す重要な役割を果たします。