ソーラー避難サイン

ソーラー避難サインとは

太陽光をエネルギー源として動作する避難看板や案内標識のことです。主に、災害から身を守るための防災インフラとして活用されます。

ソーラー防災看板_トップ
ソーラーパネルを搭載した防災看板

通常の避難サインや案内標識と異なり、ソーラーパネルによる発電機能を備えています。これにより、電力供給が途絶えた場合でも視認性の維持が可能。自立的に発光して避難経路を示す役割を果たします。また、停電時においても機能を持続します。

このページでは、ソーラーシステムを用いた防災看板整備について詳しくご紹介しています。

太陽光を活用した発電方法

ソーラーパネル(モジュール)
太陽光発電は、電力源から独立して電力を生み出す機能をもちます。

主に、ソーラーパネルとバッテリーから構成されます。

太陽光を受けて発電するソーラーパネルには「単独で電力を作り出せるメリット」があります。停電時でも電子機器を作動させ、避難機能の向上や日常生活の維持に努めることができます。防災整備との親和性は非常に高く、用途の拡大が期待されている分野のひとつです。

こんな種類の防災整備に役立つ

太陽光発電と防災整備は相性がよく、以下のような製品・サービスに用いられています。

  • 停電時の非常用電源(発電機)
  • 各種電気機器のバッテリー充電
  • 照明、街灯などの電源
  • 防災無線など災害対策インフラ用の電源
  • 点灯表示式の看板、標識の電源

このようにみると、大きく「被災時の日常生活を補助する役割」と「防災インフラの機能を維持する役割」に分けられます。これは電力規模の大小であるとも言えます。

例えば、家庭用のソーラー充電器は発電量こそ小さいものの、個人のスマートフォンやラジオのバッテリーを賄うのには十分に役立ちます。ソーラー式のランタンといった照明機器があれば停電時における夜間の行動範囲も広がります。

逆に、大きな発電量があれば、避難所の電気機器を動作させることができます。照明機器の他、空調、食料保存、防災機器の動作といった多様な面で役立ちます。

ソーラー避難サイン

防災用の看板とその問題点

防災用の看板はその大半が非発光のものです。

つまり、災害に伴う停電時(夜間)は、視認性が大きく落ち込んでしまいます。これでは、緊急性が高いにも関わらず情報の中身が見えない、見落としてしまうという大きなリスクを抱えてしまうこととなります。

しかし、いつ起こるか不明な災害に対して大きな予算を確保するのは難しく、併せて停電対策(補助電源)を各所の看板に組み込むことは現実的ではありませんでした。そうした中、太陽光発電による発電技術を用いた防災用のサインが開発されました。

ソーラー避難サインによるソリューション

ソーラーパネル_太陽光発電機能
ソーラー避難サインは、太陽光を受けて自ら電力を生み出します。

外部の電源と接続する必要がない点は大きなポイントです。災害が起こった場合、停電など電力供給がストップしてしまう可能性は少なくありません。電柱や送電機器がダメージを受けると、復旧に長い時間を要すことも考えられます。

当社のソーラー避難サインについては下記のページでご紹介しています。

防災標識 | 株式会社ソウラク
屋外用の避難標識 | 株式会社ソウラク

以下では、太陽光発電による電力生成の特徴をご紹介します。

コードレス仕様

まず、コードレスで設置できるというメリットが挙げられます。

電気・配線工事が不要となるため、設置場所の自由度が高くなります。電気が通っていない場所でも簡単に取り付けることができるためです。避難サインは適した場所に取り付ける必要があります。人通りの多い地点や迷い込みやすいポイントは避難誘導の効果が高まります。

コストの削減

また、イニシャルコストとよばれる導入費用の削減にも繋がります。

電気工事は、環境にもよりますが数万円~数十万円ものコストが掛かることもあります。工事および電源設備を省略することで導入に必要な費用を圧縮できます。また、日々の電気代が掛からないため、ランニングコストも同様に削減可能。

避難サインを管轄する自治体や企業からしても費用負担を軽減することができます。

非常時の対応(停電時)

災害時、特に大きな災害が発生すると各所で停電が発生します。

電気機器が使用できなくなることはもちろん、街灯や信号機も動作しなくなります。夜間帯の災害の場合、真っ暗な夜道を通って避難所へ向かう危険性を孕んでいます。この状態では、素早い避難行動を取るのは難しくなります。また、場合によっては転倒や怪我のリスクも大きくなり、大変危険です。

そうした中、ソーラー避難サインは自らの蓄電作用により照明点灯機能を維持し続けることができます。夜間・停電時の防災インフラとして適しており、避難所への経路をしっかりと表示します。夜間の避難行動については見落とされがちですが、あらゆる視点からの対応が重要となります。

低メンテナンス

ソーラーパネル自体は寿命が長く、およそ20年もの期間にわたって使用を維持できます。

LEDなど同じく長寿命の照明機器と組み合わせることで、低メンテナンスの照明システムを生み出すことができます。一度動作すると壊れにくく安定した運用が可能です。また、電気代を抑えられるため長期的なコスト面でもメリットがあります。

どんなところで利用される?

ソーラー防災看板_防災マップの表示

ソーラー避難サインは、持続可能で非常時にも信頼性の高い避難誘導を提供できます。そのため、様々な場所での導入が進められています。

具体的には次のような場所が挙げられます。

公共施設:学校や病院、市役所などです。多くの人が集まる場所であり、災害時の避難誘導が重要です。また、学校などは施設自体が避難所として指定されていることもあります。地域の防災拠点となる施設では、その所在を示すための避難サインが導入されます。ソーラー避難サインが導入されることで、停電時にも適切な避難が行えるようになります。

商業施設:基本的には、ショッピングモールやスーパーマーケットなどの大規模な商業施設を指します。こうした場所は多くの人々が訪れます。そのため、誘導員だけでは対処できないことも多く、各自最適な行動を取ることができるよう避難サインが設けられています。

屋外施設:地域の公園や広場です。一般的に電源が確保しにくい場所といえます。しかし、公園などは緊急的な避難場所として指定されることも多く、防災に関する何らかの情報が発信されるべきです。そうした中、ソーラー避難サインがあれば夜間や災害時に避難経路を明確に案内できます。

交通機関:駅やバスターミナルなど交通の要所となっている場所です。多くの人が利用する交通ハブでは、災害時の混乱を防ぐ必要があります。防災案内を記した表記があれば、それに従って行動してもらうことを促せます。

上記のように、電源供給が困難な場所において特にその効果を発揮します。安心・安全な避難経路の確保に寄与しています。

ソーラー避難サインの表示内容

ソーラー防災看板_夜間発光

避難サインの表示内容は、迅速な避難を促すために必要な情報が明確かつ視覚的にわかりやすく示されます。詳細はJIS規格によっても定められていますが、ピクトグラムを用いた表記が一般的です。

「ピクトグラム」は、単一の内容を示す図記号のことです。これをみれば、言葉の通じない外国人や子供でもある一定の理解が得られるとされています。ピクトグラムには多くの種類があり、防災関連のものもあります。

しかし、ピクトグラムだけでは具体的な避難行動や防災情報を伝えることができません。そこで、付随する情報が必要となってきます。

避難情報の組み合わせ
避難標識デザイン

例えば、「矢印」と「距離」の表記を載せることで、どの方向にどれだけ移動すれば安全な防災拠点へたどり着ける、といった情報になります。防災拠点の名称などを記入すると更に具体的な情報となります。細かなテキスト情報は読解の必要が出てくるため推奨されませんが、短い文章や単語のみの表示は一瞬で理解が可能です。

場合によっては、現在地の標高や海抜を表記しておくと、津波災害からの避難行動に役立てることができます。また、避難マップや位置情報が示されることもあります。

多言語表記

近年において重要な項目として、多言語表記が挙げられます。外国人観光客を中心として様々な国の方が日本に訪れるようになり、日本語が分からないケースも少なくありません。

そうした中、災害時は誰でも瞬時に避難を開始できることを目標と定め、避難サインにも言語フォローが行われます。具体的には共通語である英語での表記がメインとなります。日本語でのテキストの下部に英語表記を加えることで多言語化が実装されます。

ソーラー避難サインの課題点

ソーラー避難サインは多くの利点がありますが、いくつかの課題点も存在します。

以下に、その主な課題点をご紹介します。

天候の影響

太陽光発電の特性上、曇りや雨の日が続くと太陽光を十分に蓄電できない可能性が高まります。これにより、バッテリーの充電量が不足してしまうことがあります。夜間や長時間の停電時にサインが十分に機能しなくなるリスクがあります。

バッテリー寿命

ソーラー避難サインに使用されるバッテリーは経年により劣化が進みます。バッテリーの種類にもよりますが、定期的なメンテナンスと交換が必要です。バッテリー交換を怠ると、非常時にサインが機能しなくなる可能性があります。

初期設置コスト

一般的に、ソーラーパネルや蓄電池、耐候性のある素材が使用されています。これにより、通常の避難サインよりも初期設置コストが高くなりがちです。特に大規模な施設や広範囲に設置する場合、そのコストが課題となることがあります。

設置環境の制約

ソーラー避難サインは、効率的に機能するために十分な日照が必要です。また、天井方向にむかってソーラーパネルを広げるため、設置スペースが大きくなりがちです。このような理由から設置場所に制約が生じることがあります。

これらの課題を解決するためには、設置環境に応じた設計や定期的なメンテナンス、費用対効果の検討などが必要です。また、技術の進歩によってこれらの課題が徐々に克服されていくことが期待されます。

ソーラー避難サインの課題解決

ソーラー看板_構造2

当社では、従来のソーラー避難サインが抱えていた課題を解決するため、「ソーラーパネルと避難サインを一体化した新しい表示の構造」を開発しました。

そのソリューションとなる項目には以下のような特徴があります。

ソーラーパネル一体型の構造

従来製品と異なり、避難サインとソーラーパネルを面で一体化しています。これにより、以下のような利点を生み出しています。

  • 設置スペースを最小限に抑え、壁面や既存支柱への取付けが可能です
  • 設置場所の制限を緩和しており、適切な場所へお取付けいただけます
  • シンプルな構造のため取扱いが簡単です

手軽に運搬や設置を行うことができ、通常のサイン製品と変わらない要領でお取り扱いいただけます。

外観性の向上

ソーラー防災看板_防災用備品の所在

省スペースかつシンプルな構造には、もうひとつの利点があります。それは外観の意匠性です。

  • 景観面で問題になりやすいソーラーパネルにはブラックパネルを採用しています
  • 不格好な電極線を隠す加工を施しています
  • 表示板デザインの一部としてソーラーパネルを掲出しています

避難サインは市街地や観光地にも必要となる防災インフラです。そのため、場所を選ばずに設置される必要があります。そうした中、外観性を高めた当製品は導入がしやすく、周囲の景観に対する悪影響を最小限に抑えています。

安定した動作の実現

ソーラー看板_動作機能

いつ起こるか予測できない災害に対するインフラであるため、安定した動作が求められます。当製品は太陽光発電という自然由来のエネルギーを利用しています。発電にあたって天候の影響を受けてしまうため、効率化した電力の運用を行っています。

  • バッテリーの搭載により、悪天候に備えた余剰電力の確保も踏まえたシステム設計を行っています。
  • 発光源には低消費電力の「LED」を採用しています
  • 消費エネルギーを削減し、電力消費における効率を高めています

夜間の見え方に関しては、内照タイプの発光を採用しています。看板全面を効率的に照らし出します。遠方からでも内容がはっきりと見えやすく、視認性を向上しています。

本体コストを圧縮して低価格化

サイズにもよりますが、従来のソーラー避難サインは1台あたり10万円を超す製品も少なくありませんでした。多数の部材が用いられており、高機能な製品が多いためです。

当社では機能を最小限に絞り込み、効率化を重視することで徹底的なコストカットを実現しました。1台当たりおよそ3万円台~(※最小サイズ)ご購入いただけます。(※製品型番SS-003:表示面約20×20cmサイズの場合)。

導入時の費用面におけるハードルを引き下げています。これにより、避難において必要となる場所への導入を進めています。

安全で高性能のバッテリーを採用

メンテナンス

ソーラー避難サインで問題になりすいバッテリーに関して、当社では「ニッケル水素蓄電池」を採用しています。安全性が高く高性能でありながら市販品で1本4~500円からご購入いただけます。(製品1台につき3~6本使用)

連続使用でおよそ5~6年の長期に渡って活用できます。バッテリーの取換えも専門知識や特殊工具などは不要で、通常の電池交換と同じ要領で作業いただけます。

具体的な防災整備のご紹介

避難拠点への誘導案内

上記の特徴を踏まえ、ソーラー防災サインを用いた具体的な防災整備をご紹介します。

避難拠点への誘導案内

指定避難所などの防災拠点を示す看板です。JIS規格で整備されているピクトグラムや矢印などを用いたデザインで情報を提示します。基本的に多言語対応となっており、誰が見ても意味が分かるように内容が作られています。

防災マップの表示

被害予測に基づいて構築された避難ルートを示す看板です。近隣の地図情報が描かれており、現在地と照らし合わせて進むべき経路を知ることができます。

防災用備品の所在

災害時に必要となる備品や工具などを備えている倉庫を「防災倉庫」といいます。いざというとき有効に防災倉庫を利用することができるよう、目印となるサインが掲げられます。

資料のダウンロード

ソーラー避難サイン まとめ

お読みいただきありがとうございました。ソーラー避難サインは、災害発生という非常時にも信頼性の高い避難誘導のツールです。防災インフラとして様々な場所への導入が進められています。一方で短所となる特徴もいくつか存在します。メリット/デメリットをしっかりと考慮したうえで、必要な場所への導入をご検討ください。